派遣高校生レポート

「マレーシアで学んだこと」

専修大学松戸高等学校 2年
備瀬 美優

ドリアンに初挑戦!

私は、世界貢献したいという将来の夢に一歩でも近づきたいという思いからこの事業に参加した。実際参加し、マレーシアの素晴らしい面だけでは無く、問題点なども見ることができ、考えさせられることがたくさんあった。
 私がマレーシアに行き一番に驚いたのは、急速に経済成長をしている国の姿だ。アメリカにしか海外に行ったことの無い私にとって、空港からホテルに向かう間に車から見えた景色は衝撃的だった。至る所が電車を開通させるための線路の工事中で、長屋のような家が並ぶ一方では新しい高層ホテルがあり、これが本当に1つの国なのかと疑問に思ってしまうほどだった。

初めての夕食

どんどん発展していくマレーシアの姿に感動する一方で、発展の仕方に不安を覚えた。現在のマレーシアの森林は78%を占めるが、それらは現在進む土地の開拓などによって破壊されてきている。これからマレーシアのように発展する国が増えると、財政的に豊かな国は増えるかもしれないが、自然などの環境が発展の犠牲になってしまっては、私達人間がいつか自分達自身を困らせることになるのではないかと感じた。まだ電車で移動することが不便なマレーシアでは、ほとんどの人が車を使っている。すごいスピードで走る車で開けた窓から、決して澄んでいるとはいえない空気が入ってきたことに気付いたことも、私にこの問題を考えさせてくれるきっかけだった。今後発展していく国や地域は、その国の資源をできる限り守り失わないような対策を考える必要があると思った。

ペトロナス・ツインタワーを背景に
ホームステイの家族と。

次に印象的だったのは、マレーシアに住む人々の心の温かさである。多民族国家のマレーシアでは、お互いの宗教や民族の考えを理解し、認め合っている姿が目立って見られた。例えば、公共の場にイスラム教の信者のための礼拝所がある事や、礼拝の時間を知らせる「アザーン」がモスクのスピーカーから町中に流れることである。イスラム教の人々が、国の6割を占めるとはいっても、他の宗教の人達がこれほど当たり前に受け入れている姿に感動した。そして、人々がお互い隔てなく接している姿は、日本人とはまた違った心の寛容さを感じた。それと同時に、宗教や民族の違いで対立の起こっている地域の人々が、マレーシアの人たちのような考え方をすることができれば、紛争もなくすことができると思った。

訪問した高校や、ホストファミリーがイスラム教だったため、私はイスラム教の人たちと接する機会が多くあった。多くの初体験の中で、断食の後に一カ月開かれるオープンハウスに参加し伝統衣装であるバジュクロンを着させてもらったり、目の前で礼拝を見せてもらったことは本当に貴重な経験となった。また、ホストマザーが外出から帰ると、すぐに頭に巻いているスカーフをほどき、髪を見せた時は驚いた。このように、私が日本で送っている日常とは全くかけ離れたもので全てが新鮮だった。


現地の高校生との交流
ヒンドゥー教の聖地・バツー洞窟

夜遅くに日本人の団体で繁華街を歩いていたとき、8歳くらいの男の子が駆け寄ってきて私達にメモ用紙のような紙を押しつけてきた。現地の方によると、他国から移り住んできた貧しい家庭の子供がお金を稼ぐためにコーランを売っているとのことだった。また、赤ん坊を抱き、木の下に座り込んでいる女の人も何度か目にした。このような光景を見て、私は胸が苦しかった。この国の課題が少し見えた気がした。

異なる言語を話す多民族が共生する手段として英語が不可欠のため、ほとんどの人は英語でコミュニケーションがとれる状況だった。私と同い年の子が話す英語力に自分の実力が全く追いついていないことを痛感し、現在の日本の英語の教育に危機感を感じた。  今回の派遣を通して良かったことは、観光だけが目的ではない企画を通して、マレーシアという国をさまざまな角度から見ることができたことだ。そして、これをきっかけに世界中の国に行き、日本にいるだけでは知ることのできないそれぞれの国の本当の姿をみたいと思った。充実した一週間を過ごし帰国してきた今、日本の少しでも多くの人にマレーシアについて知ってもらいたい気持ちでいっぱいだ。この実りある経験を自分の将来の夢へと活かしていきたい。



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